広報の仕事をしていると、「リリースを出したのに何も起きなかった」という声をよく聞きます。原因の多くは、広報を「一回のイベント」として設計していることにあります。BOATshipは広報企画を「航路」として設計します。一度きりの打ち上げ花火ではなく、複数のメディアを行き来しながら関係を積み上げていく航海です。
PESOモデル — 4つのメディアを一枚の地図にする
Gini Dietrich が提唱した PESO モデルは、広報が使えるメディアを Paid(広告)、Earned(報道・パブリシティ)、Shared(SNS・クチコミ)、Owned(自社メディア)の4つに整理したフレームワークです。重要なのは、この4つを別々の施策ではなく「循環」として設計すること。Owned で語った物語が Earned の取材につながり、Shared で拡散され、必要な場面だけ Paid で増幅する——この循環の起点になるのが、まさにこのNoteのようなオウンドメディアです。
物語が人を動かすことには根拠がある
Green と Brock の2000年の研究は、人が物語に没入する(Transportation)ほど、その物語に含まれるメッセージへの説得効果が高まることを実験で示しました。事実の羅列よりも、固有名詞と情景のある物語のほうが、読み手の態度を変える。広報素材を「ファクトシート」と「物語」の二層で用意すべき理由がここにあります。
接触回数は信頼の通貨
Zajonc の単純接触効果の研究が示す通り、人は繰り返し接触した対象に好意を持ちやすくなります。広報企画で「一発で認知を取る」ことを狙うより、小さな接触を継続的に設計するほうが理にかなっています。月1回の大きなリリースより、週1回の小さな発信。オウンドメディアの自動更新体制は、この接触頻度を維持するための装置です。
「誰が語るか」を設計する
Edelman Trust Barometer が毎年示しているのは、「企業の公式発表」よりも「自分と似た立場の人」や「現場の専門家」の言葉が信頼されるという事実です。広報企画では、社長の言葉だけでなく、現場のメンバーやパートナーが語れる素材を用意すること。インナーブランディングと広報が地続きである理由がここにあります。中の人が誇りを持って語れる組織は、それ自体が最強の広報チャネルです。
BOATship式・広報企画のチェックリスト
最後に、BOATshipが企画時に使う問いを共有します。(1) この企画はPESOのどこを起点に、どこへ循環するか。(2) ファクトだけでなく物語があるか。(3) 単発ではなく接触の連続として設計されているか。(4) 公式以外の「語り手」がいるか。(5) 効果をどの指標で計測し、次の企画にどう反映するか。——五つ目の問いに答えるために、このメディアにはアクセス計測とチューニングの仕組みが組み込まれています。
