この記事は、はじめて広報企画書を書く担当者と、書いてはいるが「施策の羅列」になってしまう実務者向けのガイドです。広報の計画プロセス(Cutlipらが整理した「調査→計画→実行→評価」)を、そのまま順番に埋めれば企画書になる7項目のテンプレートに落とし込みました。PESOモデルを前提にしているので、未読の方は先にそちらをどうぞ。

「まずプレスリリースを書く」から始めない

広報企画がうまくいかない典型は、手段(リリース・SNS・イベント)から企画を始めることです。Grunig と Hunt が広報の4モデルで示したように、一方向の宣伝型広報と、相手の反応を織り込む双方向の広報では設計がまったく違います。手段の前に、「誰の、どんな認識や関係を変えたいのか」から書き始めます。以下の7項目はその順番になっています。

項目1〜3: 目的・相手・変化 — 企画の背骨

1. 事業目的との接続: この広報が事業のどのゴール(売上・採用・提携など)に効くのかを1行で書く。書けなければ企画はまだ早い。2. ターゲット公衆: 「世間」ではなく、顔が浮かぶ粒度で(例: 地方の食品メーカーの2代目経営者)。3. 望む変化: ターゲットの認知・態度・行動のどれを、どこからどこへ動かしたいのかを書く。「知らない→名前を知っている」も立派な変化です。

項目4〜5: 物語とメディア設計 — PESOに配置する

4. コア・ストーリー: ファクトシートとは別に、固有名詞と情景のある物語を1本用意する。何を語れば変化が起きるかから逆算します。5. メディア設計: そのストーリーをPESO(Paid/Earned/Shared/Owned)のどこを起点にどう循環させるかを図にする。起点はOwned(自社メディア)に置くのが定石です。理由はn06で詳しく書いた通り、他の3つのメディアの元ネタになるからです。

項目6〜7: 体制・スケジュールとKPI — 続けるための設計

6. 体制とスケジュール: 誰が・いつ・何を出すかを、単発ではなく3か月の連続接触として引く。担当1人でも回る粒度に落とすのが現実的です。7. KPIと計測方法: AMECのフレームワークにならい、アウトプット(露出数)だけでなくアウトカム(認知・態度・行動の変化)まで指標を分けて設定する。露出数だけを追うと「出したのに何も変わらない」企画を量産します。

企画書を書いたあとに — 運用とチューニング

企画書は書いた瞬間から古くなります。月1回、KPIの実測値と照らして項目5(メディア設計)と項目6(スケジュール)を更新してください。BOATshipのこのメディア自体、アクセス実績と読了率で記事をチューニングする運用を組み込んでいます。地方企業の広報でこのテンプレートを使う場合の文脈づくりは地方企業のブランド開発も参考になるはずです。

広報企画書チェックリスト

提出前の最終確認です。(1) 事業目的との接続が1行で書けているか。(2) ターゲットは顔が浮かぶ粒度か。(3) 望む変化が認知・態度・行動のどれか明確か。(4) ファクトだけでなく物語があるか。(5) PESOの循環が図になっているか。(6) 3か月の連続接触として設計されているか。(7) アウトプットとアウトカムのKPIが分かれているか。——7つ全部にチェックがつけば、その企画書は「施策の羅列」ではなく企画になっています。この記事も実測値を見ながら更新していきます。