卒業生とのつながりは、名簿ではなく自前のメディアで育ちます。
なぜ重要か
卒業生は、在学生の何倍もの規模を持つ貴学最大の支持基盤です。それでも多くの大学で、接点は年数回の同窓会報の郵送と、寄付の依頼状に絞られています。Mael と Ashforth は1992年、卒業生が母校をどれだけ自分の一部として感じているか——母校への同一化——が、寄付や後輩の紹介といった支援行動と結びつくことを示しました。順番は決まっています。誇りが先で、支援は後です。依頼状の文面を練るより、誇りを維持する接点を設計するほうが効きます。
「名簿」ではなく「読み物」でつながる
接点を郵送からメディアへ移すと、頻度が変わります。単純接触効果の研究が示すとおり、好意は接触の回数で積み上がります。年2回の会報より、月2本の記事です。そして卒業生が読みたいのは執行部の挨拶や事業報告ではなく、後輩の挑戦と同期の現在です。固有名詞と情景のある物語ほど読み手の態度を動かすことは、物語的移入の研究が実証しています。抽象的な「大学の取り組み」を並べるかぎり、卒業生の手は止まりません。
1本の記事が3つの部署で働く
卒業生インタビューは、同窓会だけの素材ではありません。在学生のキャリア教育、受験生と保護者の進路イメージ、企業の採用担当への訴求——同じ1本が同時に効きます。組織同一化の理論が示すとおり、所属は自己定義の一部として持ち運ばれます。卒業生が誇りを持って語る母校は、そのまま入試広報の最強のチャネルになります。だから卒業生広報は同窓会事務局の仕事ではなく、学内メディアと同じ編集体制の中に置くべきです。部署ごとに別々の媒体を作るほど、素材は分散して力を失います。
実績 — TEAM JOSAI!(城西大学)
BOATshipは城西大学とともに、大学公式WebマガジンTEAM JOSAI!を企画・制作しました。「大学の全てを共創」をコンセプトに、駅伝をはじめとするスポーツの物語を大学自身が語り続けるメディアです。「TEAM JOSAI!」という名前は、学生・教職員・卒業生・地域をひとつのチームとして束ねる旗印として設計しました。企画からコンサルティング・編集・コンテンツ配信のデザインと開発まで伴走しています(制作概要はWorksへ)。
さらに詳しく
卒業生・在学生・受験生を1つのメディアで束ねる考え方は、ホワイトペーパー「大学広報は、なぜ届かないのか。」(無料)にまとめています。貴学の設計を今日1枚に落とすなら、記入式のメディア設計ガイド[大学版](無料・記入式)で、コンテンツの柱と体制まで決められます。連載の第1回は大学広報の次の一手は「編集部」になることです。
