地域との連携は、報告書ではなく貴学のメディアで資産になります。

なぜ重要か

地域連携は、大学評価と学生募集の両方に効く経営テーマです。それでも成果の大半は、年度末の報告書と自治体への提出資料に沈みます。協定を結んだ日はニュースになっても、その後に何が起きたかを語る場が貴学にありません。地域住民は、最も近くにいながら最も手つかずの読者です。自前のメディアを持てば、連携の一つひとつを読み物として残し、次の連携先にも受験生にも、必要なときに何度でも差し出せます。

「実施した」を「語られる」に変える

Boyer が1996年に提唱した「engagement の学識」は、大学の知を地域の課題に接続する営みそのものを、研究・教育と並ぶ大学の仕事として位置づけました。問題は、その営みが記録されても語られないことです。件数と参加人数の一覧は評価資料にはなりますが、人の心は動かしません。動かすのは、関わった学生の名前と、受け入れた事業者の言葉と、思い通りに進まなかった過程です。Green と Brock の物語的移入の研究が示すとおり、固有名詞と情景のある語りほど読み手の態度を動かします。連携を企画する段階で「誰がこの物語を書くか」を決めておくこと。ここが実務上の分かれ目です。

地域の文脈は、貴学だけが持つ資産

Anholt が論じたように、場所のブランドは新しく作るものではなく、すでにある文脈を編集するものです。貴学が立つ土地の産業、歴史、人の関係は、他大学には模倣できません。Putnam が『Bowling Alone』で示したとおり、地域のつながりは放っておけば痩せていきます。大学が編集の役割を引き受けると、メディアは大学と地域を橋渡しする装置になります。そして地域で語られた物語は、そのまま入試広報で「この街で学ぶ意味」を伝える素材になり、卒業生広報では地元に残った先輩の現在として働きます。土地の文脈を言葉にする考え方は地方企業のブランド開発で見えてきたことにまとめています。

実績 — TEAM JOSAI!(城西大学)

BOATshipは城西大学とともに、大学公式WebマガジンTEAM JOSAI!を企画・制作しました。「大学の全てを共創」をコンセプトに、駅伝をはじめとするスポーツの物語を大学自身が語り続けるメディアです。「TEAM JOSAI!」という名前は、学生・教職員・卒業生・地域をひとつのチームとして束ねる旗印として設計しました。企画からコンサルティング・編集・コンテンツ配信のデザインと開発まで伴走しています(制作概要はWorksへ)。

さらに詳しく

地域・卒業生・受験生を1つのメディアで束ねる設計思想は、ホワイトペーパー「大学広報は、なぜ届かないのか。」(無料)にまとめています。貴学のコンテンツの柱と発信体制を今日1枚に落とすなら、記入式のメディア設計ガイド[大学版](無料・記入式)をお使いください。連載の第1回は大学広報の次の一手は「編集部」になることです。