PLANNING
新入生の定着は、オリエンテーションではなく貴学のメディアで支えられます。
なぜ重要か
学生募集の努力は、入学式で終わりません。入学した学生が1年目でつまずいて離れれば、入試広報で積み上げた信頼も、学びの機会も失われます。Tinto は1975年、学生が大学を去るかどうかは、学業面と社会面の両方で大学に統合されているかに左右されると整理しました。Astin の1984年の関与理論も、学生が大学生活に注ぐ時間とエネルギーの量が、成長と定着を決めると示しています。それでも貴学から新入生への発信は、4月のオリエンテーションと履修案内に集中しています。不安が本格化する5月以降に、届く言葉がありません。
「不安なのは自分だけではない」と伝える
Walton と Cohen が2011年に Science 誌で報告した研究は、大学1年生に上級生の体験談を読ませ、「入学当初に居場所がないと感じるのは誰にでもあることで、時間とともに薄れる」と伝える短い介入を行いました。その結果、とくに少数派の立場にある学生で、その後の成績が向上しています。実務への翻訳は明快です。新入生に必要なのは規則の説明ではなく、先輩が名前つきで語る「最初は自分もそうだった」という物語です。サークルに入りそびれた話、最初の試験で失敗した話、相談窓口に救われた話——これは学内メディアの記事そのものです。
1本の記事が、入学前から入学後まで働く
先輩の体験談は、新入生だけの素材ではありません。受験生と保護者には「入ってからの姿」として読まれ、入試広報の受け皿になります。語る側の上級生にとっても、自分の物語が名前つきで語られる体験は、所属を自己定義の一部に変えます(学内のエンゲージメント)。入学前の約束と入学後の実感が同じメディアの上でつながるとき、広報は募集の仕事から、定着まで含めた大学経営の仕事になります。学生支援課と広報課が別々に発信するほど、素材は分散して力を失います。
実績 — TEAM JOSAI!(城西大学)
BOATshipは城西大学とともに、大学公式WebマガジンTEAM JOSAI!を企画・制作しました。「大学の全てを共創」をコンセプトに、駅伝をはじめとするスポーツの物語を大学自身が語り続けるメディアです。「TEAM JOSAI!」という名前は、学生・教職員・卒業生・地域をひとつのチームとして束ねる旗印として設計しました。企画からコンサルティング・編集・コンテンツ配信のデザインと開発まで伴走しています(制作概要はWorksへ)。
さらに詳しく
受験生・新入生・在学生を1つのメディアで束ねる設計思想は、ホワイトペーパー「大学広報は、なぜ届かないのか。」(無料)にまとめています。入学後の1年間に届ける発信計画を今日1枚に落とすなら、記入式のメディア設計ガイド[大学版](無料・記入式)で、コンテンツの柱と体制まで決められます。連載の第1回は大学広報の次の一手は「編集部」になることです。